2013年12月25日水曜日

写真を見ながら

「お父さんって10年前から変わらないねぇ」
「そうか?」
「着ている服が今とまったく同じ」

2013年11月20日水曜日

若旦那

みすぼらしい身なりをした男が、雑草をちぎっては食べ、ちぎっては食べしているところに、ある大店の若旦那が通りかかった。
男の様子を見て不思議に思った若旦那は声をかけた。
「なんでお前さんは草なんか食べているんだい?」
「見てのとおり、ひもじいからでさぁ」
「なるほどわかった。それなら、我が家においで」
「家には連れ合いと五人の子供もいるんですが」
「そいつは好都合。みんなでおいで」

男の家により妻子を連れて若旦那の家へ向かう。
「おありがとうございます。だが、ほんとうにこんなに大勢で押しかけても大丈夫なもんでございましょうか?」
「いやいや大勢の方がありがたい。ちょうど奉公人がやめたところで、うちの庭は草が伸び放題になってるんだ」

2013年11月15日金曜日

美術館にて

「素敵な色使いの絵ね。これはどなたが描いたの?」
「ルノワールでございます」
「こちらの蓮の絵は?」
「モネでございます」
「この絵はわたしでもわかるわよ。ピカソでしょ」
「いいえ、奥様。そちらは鏡でございます」

2013年11月13日水曜日

父と子の会話

「もしもし、お母さんいる?」
「いらな~い!」

2013年11月12日火曜日

尻尾の2本あるネコ

「ご隠居、ひとつ相談にのっておくんな」
「熊さんが相談ごととは珍しいな。なんだね?」
「昨日のことなんだけどね。うちの長屋にネコが紛れ込んできたんだけどね。そいつの尻尾が2本あるんだよ。どうすればいいもんかね?」
「ほほう、そいつは珍しいものを見つけたな。浅草の見世物小屋にでも連れていくのがいいんじゃないかね」
「さすがご隠居だ、そいつは思い浮かばなかったな。さっそく明日にでも連れていきますよ」

三日後。

「おや、熊さん、どうした。こないだのネコは見世物小屋に連れてったかい?」
「連れてきましたよ。ご隠居。そのことでまた相談なんですがね。仰るとおり一昨日は見世物小屋に連れてってやり、昨日は芝居を見せてやったんですよ。で、今日はどこへ連れてってやればいいですかね?」